2008年6月30日(月)19:30

ケーラー独大統領は当面リスボン条約に署名せず

ベルリン(AP)

ドイツのホルスト・ケーラー大統領は予想どおりEU改革リスボン条約の批准を停止した。大統領府は月曜日、大統領はリスボン条約の批准文書に当面署名しない。これは連邦憲法裁判所の要請に応えたものだ、と伝えた。カールスルーエの連邦憲法裁判所は、現在リスボン条約に反対する幾件かの訴訟を審理している。リスボン条約はアイルランドの国民投票による批准否決を受けて現在凍結状態である。ケーラー大統領の署名停止については、キリスト教民主同盟(CDU)と社会民主党(SPD)の中から批判の声があがった。

訴訟を起こした中には左派党(die Linke)も含まれる。左派党はキリスト教社会同盟(CSU)のペーター・ガウヴァイラー連邦議員と同様、リスボン条約が憲法違反であると訴えている。ケーラー大統領は連邦憲法裁判所の審理の結果を待つ意向である。リスボン条約はアイルランドの否決により、予定された2009年1月1日の発効が不可能と見られているが、少なくとも2009年6月の欧州議会選挙前の発効を目指している。ドイツの連邦議会と連邦参議院はすでに条約の批准を終えている。

ケーラー大統領の決定はすでに予測されていた。大統領府は、決定は月曜日にカールスルーヘの憲法裁判所へ正式に伝えられた。署名延期はリスボン条約の承認法案と基本法との合致に関する大統領自身の判断とは何の関係もない、と述べた。

リスボン条約は、2005年の夏にフランスとオランダの国民投票で否決された欧州憲法に代わるものである。条約は欧州議会の権限を拡大することなどにより、EUの効率化と民主化を図るものである。

ドイツは批准に関してまだ切迫した状況には置かれていない。アイルランドのほかにもスウェーデンやスペインの批准承認がまだ行われていないからである。リスボン条約はチェコでも憲法裁判所で審理されている最中である。

左派党は最初の成果と評価

左派党はケーラー大統領の決定を訴訟の最初の成果と評価した。これにより大統領の署名の禁止を求める仮処分申請は不要になった、とグレゴール・ギジ党首は語った。

これに対してCDUとSPDの欧州議員からは批判の声が上がった。議員らは大統領の手続きは形式的には正しく、決定は尊重しなくてはならないと強調する一方で、大統領は「誤ったシグナル」を与えている。「アイルランドの国民投票否決を受けた議論を踏まえれば、これは欧州統合懐疑論者に追い風を送るようなものだ、とSPDのアクセル・シェーファーEU政策公報担当はハンデルスブラット紙Handelsblatt(火曜版)に語った。

連邦議会のグンター・クリヒバウムEU委員会委員長(CDU)も、「政治的なシグナル効果を考えれば別の方式が望ましかった」と述べた。委員長はハンデルスブラット紙とフランクフルター・ルントシャウ紙で、マーストリヒト条約でのローマン・ヘルツォーク元大統領の対応に触れた。当時ヘルツォーク大統領はマーストリヒト条約に署名したものの、提出については控えた。ケーラー大統領も同様に署名した後、憲法裁判所の判断が下りるまで文書を保管することができたはずである、と委員長は語った。

一方、自由民主党(FDP)のヴェルナー・ホイヤー欧州議員はハンデルスブラット紙でケーラー大統領を擁護した。大統領の手続きは「連邦憲法裁判所に対する敬意のしるしであり、それゆえ自明のこと」である。緑の党のラインダー・シュテーンブロックEU政策公報担当も、フランクフルター・ルントシャウ紙で「通常の手続きであり、決してリスボン条約に反対する訴えを認めるものではない」。しかしそれが批准手続きの遅延につながることがあってはならない、と述べた。

原題:Koehler unterzeichnet EU-Reformvertrag vorerst nicht




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